スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン:カーマイン・ガロ

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則
カーマイン・ガロ
日経BP社
売り上げランキング: 23




気合いを入れないと、とても読破できそうにない400頁に及ぶ分厚いビジネス書だが、実際には誰にでも手軽に活用できるわかりやすい内容の良書だ。

米国アップルのCEO、スティーブ・ジョブズの感動的なプレゼンテーションは、伝説の領域に入っている。自分自身、その極意を学びたいと思っていたが、ジャーナリストである本書の作者が客観的な視点でその良さを見事に分析し、読者にわかりやすく伝えてくれている。読みやすいといっても、400頁からの本なので一気に読み切ることはできない。しかし、内容は18のシーンに分かれて、独立した形で構成されているので、1日1シーンといったマイペースでの読破も可能となっている。

その内容も大変多岐に渡っている。プレゼンの構想をまとめる段階のことから、当日の服装についてまで、大きなポイントから細部にいたるまでを、分析し解説している。その中で、いくつか特に印象深かった点をご紹介したい。

シーン2の「一番大切な問いに答える」は、プレゼンテーションだけでなく、商品開発や営業活動など、多くの仕事の場面で役に立つアドバイスだ。とかく売り込む立場になると、製品やサービスの技術的側面から入りがちだが、作者はスティーブのプレゼンが、「まずユーザの体験からスタートし、最後に技術へとさかのぼる」ことを実践していることを指摘している。マーケティングで有名なAIDMAの法則でも、はじめに観客の「注意」(Attention)を引くことの重要性を上げているが、まさにスティーブ・ジョブズは「なぜ気に掛ける必要があるのか?」からプレゼンをスタートさせている。その上で、シンプルなメッセージ(ヘッドライン)を伝え、解決すべき課題(敵役)を用意し、最後に技術面を盛り込みながら解決策を観客に示す(正義の味方を登場させる)ことで共感を得ている。

これ以外にも「主要ポイントを3つに絞る」「聞き手を休ませるための10分ルール」「プレゼン資料に余白を活用する」「小道具とデモを活用する」などは、すぐにでも仕事に活用できるお役立ちキーワードが豊富だ。営業やマーケティング、学会などで発表の機会の多い研修者だけでなく、日頃から「人にモノを伝えることの大切さと難しさ」を感じているビジネスマンにとって、「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」を今年最良のビジネス書として推薦したい。

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